社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.274
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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![]() 2025.6.30 |
![]() 傲慢と善良 辻村深月/著 朝日文庫 |
辻村深月さんの作品を最近はよく読みます。 その中でもお気に入りの作品が、今回ご紹介する『傲慢と善良』です。 昨年、実写映画が公開されるとのことで「映画になるくらいだから面白いだろうな」という気持ちで、事前に内容もよく調べず読み始めました。 以下、あらすじです。 マッチングアプリで出会い、婚約をした架(かける)と真実(まみ)。 交際2年、真実がストーカー被害を受け、架に助けを求めたのをきっかけに婚約した2人は、同棲も始め、結婚式場も抑え、あとは滞りなく結婚できるはずだった。 真実が失踪するまでは… ある日突然いなくなった真実を探すため、真実の母、登録していた結婚相談所、過去の婚活相手に話を聞いて真実の居場所を探す架。 真実は何故失踪したのか。その真相に迫るうちに架は自分自身、そして婚約者・真実の過去、真の顔を知ることとなる- 第1章では、失踪した婚約者を探す男性側(架)が主人公で、第2章では失踪した女性側(真実)の視点で物語が進みます。 現代の婚活事情、婚活に励む人々の心の葛藤が丁寧に描かれていて、なるほどと思わされるところが多かったです。 自分に合う相手を選ぶ、自分が主導権を持っていると考える「傲慢さ」、周りの期待に応え続け良い子でいる「善良さ」。 架は「傲慢さ」を持っていることで、相手に対して思いやりを持てなかった。 真実は「善良さ」を持っていることで、気持ちをさらけ出すことに不器用だった。 それがこの本のタイトルになっているのかなと思いました。 個人的には、自分をさらけ出せない相手との結婚生活は苦しいと思います。 第1章は、失踪した真実にイライラさせられましたが、第2章を読み進めていくと、真実に同情できる部分も見えてきたり、自分から変わろうとする前向きな成長が見られ、印象が変わりました。 こういうふうに読んでいくうちに、こちらの気持ちが変わる読書体験って、読んでいてすごく楽しいです。 失踪事件を通して主人公2人がどういう結論に達したのかは、読んでからのお楽しみ。 出版者のサイト |