社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.101

おすすめ人 この1冊 こんな本です
BJ氏
2012.3.5


「2015年放射能クライシス」

武田邦彦 (著)

小学館
かつては「原発推進派」で日本原子力学会平和利用特賞まで受賞した科学者である著者が、3.11の福島第一原発事故後の対応状況をみて、技術的に「原発はこの先200年はやらないほうがいい」としている。
その主な理由として次を挙げている。
 ・震度6で東日本の大半の原発が壊れた。
 ・ストレステストは本気でやれば全原発が不合格になる。
 ・原発はなくても石油、特に石炭は豊富にある。
 ・CO2が増えても地球は温暖化しない。
 ・地球の気温はずっと下がっており今は一番寒い。

原発を再開するにしても「救命ボート」(事故時の準備)が必要である。

チェルノブイリ事故による小児がん患者が4年後に急増したことから、今回の事故から4年後の2015年には、日本でも小児がん患者が出る恐れがある。
高度なネット社会のなかで、この厳しい現実に直面した時に予想される国内外の激しいリアクションに日本は耐えられるのか?

太平洋戦争の後、日本人は「二度と再び、この過ちは繰り返すまい」と決意し、その1つとして「学問の自由、表現の自由、言論の自由」などを日本国憲法に規定した。
しかし、福島原発事故の後、日本はすっかり崩壊した姿を見せ、虚偽と口当たりの良い修飾で幻想の社会を描き出している。

今回の福島原発事故では、国を挙げて著しくウソを重ねてきたことによって、「日本人は誠実」と思っていた海外の人々を裏切ってしまった。
この信頼を取り戻すには、「事実を伝え、約束を守る」誠実な社会を作り直していくしかない。

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