社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.281
| おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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![]() 2026.2.27 |
![]() 未来 湊かなえ/著 双葉文庫 |
10歳の少女・章子のもとに、20年後の自分から一通の手紙が届いた。 未来の手紙だなんて、誰かのいたずらに決まっている… 最初は信じられない章子だったが、手紙には他者が知り得ないであろう出来事が書かれており、いつか行くことを夢見ているドリームランドの30周年(現在は10周年)の栞が同封されていたことで、信じてみようという気持ちになる。 誰よりも優しく、惜しみない愛情を与えてくれた父親を亡くし、心の病を抱える母親と2人きりの生活が始まった章子は、家庭でも学校でも自分の居場所を見い出すことができず、20年後の自分に向けて届くことのない手紙に思いを綴るのだが… “イヤミスの女王”と呼ばれる湊かなえの作品です。 「告白」「Nのために」「贖罪」など有名な作品は多々ありますが、「未来」は私のオーディオブックデビュー作品として選んでみました。 “未来の自分から手紙が届くストーリー”=ファンタジー系の明るく前向きな作品?と期待を込めて聴いていたのですが、雲行きが怪しい… (そんなに多くはありませんが)今まで読んだ彼女の作品の中で一番精神的負担が大きい作品でした。“さすが、湊かなえ作品!”と心から感心してしまったくらいです。 10歳とは思えないくらい周りの状況や人の気持ちを考えることができる章子を軸に、苦悩や葛藤を抱きながら懸命に生きようとする3人の目線で物語が進んでいきます。 ほんのわずかな時間に生じた幸せな出来事や将来の夢を支えに日々真面目に生きても、取り巻く人間や環境によって容易くどん底に突き落とされる。 子を守るべき親や周りの大人たちの身勝手さ残酷さの連続に怒りを通り越して唖然としました。 “そんな絶望的な人生ってある?!”と思ってしまうのは、きっと自分が恵まれた環境で生きてきたから。 気持ちに余裕のない人には不向き、私のように運動中に聴くのも不向きな作品だとは思いますが、湊かなえが初めて書いたという「あとがき」にある、この作品を生み出した理由や伝えたい想いを知ったら“良い作品だったな”と振り返ることができました。 映画化され、今年の5月に公開するようなので、気になる方は是非手に取ってみてください。 出版者のサイト |



