社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.276
| おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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![]() 2025.8.29 |
ワルツを踊ろう 中山七里/著 幻冬舎 |
外資系の会社をリストラされた元エリートの溝端了衛は、幼い頃住んでいた依田村に戻り、亡き父親が残した実家で人生を立て直そうと考える。 都内ではあるが携帯電話の電波も届かないその村は、年寄りばかりの7世帯9人が暮らす限界集落で、曲者ぞろいの村民に困惑する了衛。 村民の中で唯一優しく受け入れてくれる能見と、越してきてからすぐに拾った子犬のヨハンを心の支えに、村を過疎化・消滅から救うため良かれと思う行動を起こすが、報われるどころか村八分となり、精神的にも経済的にも追い詰められていく… このあらすじを読むと主人公の了衛が一見かわいそうに思えますが、都会暮らしのエリート感覚が抜けず、良かれと思っていることが独りよがりで甘かったりします。 そんな了衛に呆れながらも、無駄遣いできない貯金を崩してカラオケ付懇親会を設けたりと、必死に村民に交わろうとする彼に対し、村民たちの身勝手すぎる行いにも物凄くイライラしてきます。(田舎暮らしに憧れがある人が読んだら、気が変わるのではないかと思うくらいリアルです。) こんなに気が滅入る作品も珍しいなぁと、何度か途中でやめようかとも思ったのですが、後半で了衛の心が限界に達してからはページを捲る手が止まらず、一気に読破してしまいました。 村民の嫌がらせにはきっと裏がある、最後はハッピーエンドにはならないだろうという不穏な空気… 推測しやすいストーリーであり、多くの人が後味の悪いイヤミス作品だと感じるでしょうが、「目には目を歯には歯を」という考え方の人は、ちょっとスッキリすると思います。(私にとっては刺激的で面白かったです。) ただ、ストレスが溜まる作品には変わりないので、気持ちに余裕があるときに読むことをオススメします。 出版者のサイト |


