株式会社タック・ポート

社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.273



おすすめ人 この1冊 こんな本です
TW
2025.5.30


NEW

天使の囀り
貴志祐介/著
角川ホラー文庫

精神科医として働く主人公・早苗の恋人・高梨は“死恐怖症”だったが、アマゾン調査プロジェクトのため、4名の専門家と共にアマゾンへ旅立ったのを機に人格が変わり、病的に恐れていた死に魅せられるかのように自殺した。

高梨の死後、他のプロジェクトメンバーや、とある団体の自己啓発セミナーに参加した若者数人も次々と自殺した。
高梨同様、それぞれが一番恐怖を抱いていた方法で…。

自殺した者たちに共通するのが“天使の囀りが聞こえる”という症状。
この本のあらすじを読んだ時は、ある種の呪いや霊的なものかと思っていましたが、読み進めていくうちに“もしかして…”と、大まかな原因が分かってきます。

ただ“それ”をしたことで、なぜ恐怖が快楽に変わるのか、なぜ死んでしまうのか疑問は残るので、読み進めていくのが楽しく、500ページを超える本なのに長さを感じません。

早苗が真相を突き止めるために各専門家の話を聞くのですが、事実に基づいた説明が含まれているため、かなりリアルで、実際に同じことが起こってもおかしくないと思ってしまいます。

医師としての使命感と恋人を失った悔しさで、未知の敵に立ち向かう早苗に感情移入し、最後の彼女の決断にも共感できました。

死恐怖症、潔癖症、蜘蛛恐怖症、動物恐怖症…
“もし自分なら何が一番怖いか?”と想像したくなる内容になっています。

出版者のサイト

バックナンバーリスト
会社ページのトップに戻る