社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.238

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2019.8.29


「侵蝕」

櫛木 理宇

角川ホラー文庫

父親は単身赴任中、母親と娘3人が暮らす皆川家。
ある日、不憫な格好をした少年が「トイレを貸して欲しい。」と訪ねてきた。
半年前に幼い長男を失って以来塞ぎこんでいた母親は、偶然息子と同じ名の少年を家に上げ、手放そうとしない。
数日後、少年の母親と名乗る女性が現れる。
10代が着るようなフリルの服で全身を包み、厚化粧をした異様な女が…

普通に考えたら、保護した少年は110番するか交番へ連れて行くでしょう。
母親が訪ねてきたら、子供を返して終わりでしょう。
しかし、それぞれに弱みや悩みを抱えていた皆川家は、怪しげな他人を家に入れたことで、浸蝕され狂気に満ちていきます。

この本のジャンルはホラーになりますが、幽霊や超常現象、グロテスクな描写があるような“いかにもホラー”というものではなく、人間が人間を支配し恐怖に陥れる内容になっています。

読んでいくうちに、北九州監禁殺人事件や尼崎事件と重なりましたが、本よりも実際に起きた事件の方がはるかに残忍で恐ろしいと感じました。

人ってこんなに簡単に洗脳されてしまうものなのか?
疑い深い自分には不思議で仕方のない話でしたが、どんな人でも自分の意志を失うほど極限まで追い詰められたら、同じ状態になってしまうのかもしれませんね。

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