社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.224

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2016.8.8


「馬を盗みに」

ペール・ペッテルソン/著
西田英恵/訳

白水社
ノルウェイの物語。光の濃淡と色彩の美しい記憶が残る作品でした。
ノルウェイの短い夏は2~3ヶ月しかなく、ほとんど夜のない明るい毎日です。
一方で長い冬、明るい時間帯は1日に5~6時間しかありません。

1999年11月。妻を大事故で失った67歳の主人公は、自らを孤独に追い込むべくノルウェイの森に住居を構えます。
テレビも洗濯機も置かない、ひたすら孤独の生活。あるのは、ディケンズの蔵書とラジオ、そして1匹の愛犬だけ。
望んだ上の孤独、それでも忍び寄る過酷な冬、そして老いと死への漠たる恐怖が襲ってきます。

ある出会いから主人公は、過去の出来事、あの夏をフラッシュバックのように思い起こすようになります。

1948年8月。自らの15歳の夏、短く光まぶしい夏、緑豊かな森、迸る冷たい川と輝く水にあふれた美しい夏、分かれた父との最後のあの夏を思い出します。
自ら封印してきたあの夏の思い出が、どんどんと心に湧き溢れています。

あの夏、父はなぜ失踪してしまったのか。
15歳の時には分からなかったことが、回想の中で次第に明らかになっていきます。

物語はノルウェイの森の田舎町を舞台に15歳の夏と67歳の冬が交互に描かれます。

光明るい夏と雪迫る灰色の初冬、父と過ごした男同士の暑く熱い夏とひたすら孤独な冬。
この対比がとてつもなく美しい物語でした。

世界中の国でベストセラーになり、いくつもの賞を受賞した作品だそうです。
映画になったら美しいだろうと思います。

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