社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.164

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2013.10.7


永遠の0

百田尚樹

講談社文庫
生きて、必ず生きて帰る。妻のそばへ、娘の元へ――――

今年の12月に実写映画化もされるという、今話題の本です。

主人公は弁護士を目指す佐伯健太郎。 司法試験に挑むものの、試験に落ち続け目標を失いかけている青年です。 そんな彼にフリーライターの姉・慶子からある依頼がきます。「第二次世界大戦で特攻隊員として亡くなったおじいちゃんの記録をまとめたい」と。
祖父の戦友一人ひとりをあたっていくうちに、存在すら知らなかった祖父・宮部久蔵の人物像、家族そして自分の命に対する思いがはっきりしていきます。

当時の情勢や戦闘の描写も丁寧に纏められていますが、私が特に印象に残ったのは特攻で死ぬはずだったおじいさんの言葉です。

「特攻隊に出願した者が、皆お国のためと喜んで死んでいった、そう信じている人間がいる。そんな馬鹿な話があるか。」

家族宛てに「立派に死にます」と書かれた特攻隊員の手紙を見たことがあります。
その時は当時の時勢を考えると仕方なかったのだと思いました。
しかし、本書のこの部分を読んでその手紙はどんな思いで書かれたのだろう、と考えると胸が締め付けられました。

そのほかにも時代や国が違えども、人が大切な人を思う気持ちや感情は変わらないのだと思わせるシーンがいくつも出てきます。

戦争を風化させてはいけない、と改めて考えさせられた本でした。


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