社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.120

おすすめ人 この1冊 こんな本です
HT
2012.10.9


「橋のない川」

住井すゑ

新潮社
7巻もの、しかも著者死去により未完成の被差別部落・奈良県の小森村を舞台に繰り広げられる物語です。
7巻を読むのにここ1か月、心はすっかり小森部落の一員となってしまいました。

学校の歴史で習ったことのある身分制度「士・農・工・商・穢多・非人」、勉強不足ですが、江戸時代までの身分制度の話だと思っていました。

「穢多」と呼ばれる小森部落に生きる人々が差別の中でぎりぎりの生活を生き、そして人権を獲得するための部落解放同盟、水平社を立ち上げ、村人の意識が少しずつ変革していくまでを描いた物語です。

部落差別の陰湿さ、理不尽さに物語が完結することはないのかもしれませんが、話半ばの7巻で青年・孝二、秀昭、和一のこの先が読めないのはとても残念です。

孝二の祖母・ぬいは文盲ですが、大変な知恵者。本当に素晴らしいおばあさんで、読んでいて本当にいろいろなことを教えられました。
また、7巻を通じて、常に出てくる小森部落での笑い声「あはゝゝゝゝ、うふゝゝゝゝゝ」。

本当に元気をいただいた物語でもありました。

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