社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.099

おすすめ人 この1冊 こんな本です
HT
2012.2.16


「逃亡」

帚木蓬生

新潮社
戦中、香港で諜報活動に従事していた憲兵・守田軍曹。
敗戦後、中国からの引き上げが続々と進む中、反日感情むき出しの市民の中に取り残されたのは憲兵たちだった。
憲兵であることを隠して離隊、何とか生きて戻った祖国で待っていたのは戦犯としての扱いだった・・・。

私の場合、戦中、電電公社に務めていた祖父は北京に赴任しており、祖父一家(幼かった母)は北京からの引揚者となりました。
存命中、祖父母は戦争のことを多く語ってくれませんでした。
そのせいか、ずっと気になり、この時代の本に時々手を伸ばします。

日本人は中国でどんなに残虐だったかが赤裸々に書かれた小説でした。
また、B級C級戦犯とは一体なぜ罪に問われたのだろう、というやるせない問題が書かれています。

長編でありながら一気に読み切れる小説ですが、読んでいてとてもつらかったです。
ラストは帚木さんらしい終わり方でした。

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